掌の歌 ~少林寺拳法修行記~



大会の意義

少林寺拳法に入門して初めて、少年少女武道錬成大会 少林寺拳法の部に
スタッフとして参加してきました。

主催は日本武道館。武道振興の一環として、
子ども達が夏休みの期間に開催されている大会です。

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以前の道院は、全国大会に繋がる県大会以外は参加させないという方針で、
少年部が50人近くいたとしても出場せず。
移籍先は小学生、中学生が現在居ないため、出場なし。
スタッフとして、今年は県連の役員待遇ということで初めて声がかかった次第。

自分の業務は、拳士の招集~コートへの移動、コート内の競技進行。
最後が団体演武ということで進行を遅らせてしまいましたが、
出場した子ども達が精一杯演武でき、また負傷者もなしということで、
まずは最低限の責務は果たせたか・・・と思います。
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少年少女武道錬成大会、大会の性格があり、
全員に「記録証」ということで表彰状が出ますし、
一定の点数を超えれば、超えた全員にメダルが授与されます。
すなわち、“競う”ことではなく、参加することを重視している大会です。

今の競技化の流れからすると、全く逆行する大会。
でもこれはこれで、大会のあり方としては良いのではないかと思います。

競技中心の大会、全面的に否定するものではありません。
やはり“競う”ってことも上達の過程には必要な要素ですし、
高校生~大学生の拳法部の拳士にとっては、競技で入賞ってのは
少林寺拳法を周囲に認知させるにはどうしても必要な部分ではある。

だが、競技だけってのはやはりそれはそれで弊害もある。
とくに、下手でも地道に修練に取り組んでいる、
真面目に修練はしているけど、演武の評価には繋がらなかったり、
組演武の相手がいつも見つからず、出場の機会さえもない、
そういう拳士にとっては、評価される場ってのはなくなってしまう。

特に小学生、中学生ってのは、自分が評価されることが動機付けにも繋がる。
でもその機会がない拳士にとっては、意欲を持続させることは
今の子ども達、親の意識から考えると難しい。
「少林寺拳法は人格完成の道、大会はその一過程、続けることが大事」
お題目を唱えたところで、それを額面通り理解できる方は少ない。

そして、入賞できるわずかな拳士だけが残り、
そこに引っかからない拳士は意欲を失い辞めていく。
以前の道院でさんざ見てきました。

それって、少林寺拳法の目指している姿ではない。


やはり、子ども達にとって「評価される」ってのは大事なこと。
“競う場”で評価するのも大切だが、
少年少女武道錬成大会のように、自分のできることを評価して貰う場ってのも
大事なことではないかと思います。

今年参加してみて、子ども達が笑顔で演武している姿で、
自分も楽しみながらスタッフの役目が果たせましたし、
やはりね、演武し終わり、表彰式での自信を持った表情、
それが見られただけでも、今回スタッフとして関われて良かったと思っています。

「競うこと」「楽しむこと」
大会の意義ってものは、両者があっていいと、自分は思います。






# by shorin-kid | 2017-08-13 11:47 | 大会

「真似る」ことと守・破・離

前記事の続きです。

もう一つの課題、演武を「真似る」ことについて。

これは小中学生に限ったことじゃないけど、
学生、特に大学生の演武を真似た演武ばかりになってることです。
今の演武って、はっきり言って特定の大学の演武の物まねみたいなものが目立つ。
はっきり言って、「金太郎飴」状態。

実は全所属の所属長先生・・・ スポ少が活動休止になってしまったので、
所属長の前所属の、今の道院に一緒に移った(先生にとっては復帰ですが)のですが、
高校生の大会の時にこの話題になって、
「優秀な演武を真似るのも上達の手段」と言っています。

それは確かにそうです。
優秀な演武を実際にやってみることも、構成の組み方や技法の使い方、
やはり学習になるのは確かです。


ただ、現状ではそこで終わってる組演武が多い。

結局、○○大の演武をやれば、見栄えが良くて入賞できる!と
演武をやる側も、指導する側もそこで終わってるんだと思います。

確かに入賞した拳士、大学であれば出来る。
でも人間がやることです。
体格も運動神経も、修練時間も全く違う人間が、
同じような演武をやって、同じように動けますか? やりきれますか?

ロボットやコピー人間じゃ無いんですよ。


少林寺拳法の教えの中に「拳の三訓」があります。
師の格を真似、そこから創意工夫を加え、最終的に自己の格を作り出す。

演武だって同じ事です。
真似ることから、自分、相手に合わせた創意工夫を入れ、自分達の考えた演武をうみだす。
はっきり言って、
「この構成をやれば優勝できる」、「この技を入れれば入賞だ!」
そんなものは無いはずです、はっきり言ってあり得ない。

でも現状は、「この構成が~」「この技~」あるように感じます。
まぁ半分は我々指導者、審判員の怠慢ではあるんですが。

最初の全国中学生大会で、
二段の組演武、ほとんど大学生のような組演武をしていました。
まだ緑帯・・・もしかしたら都道府県の予選後に昇級していたかもしれませんが、
基本の技を、自分達の動きで忠実に演武してました。

結果は、二段の組演武は優勝を逃し、旧拳士の組が最優秀でした。
すなわち、二段の組はまだ「守」の段階でとどまっていた。
旧拳士の組は、その先の「破」「離」の段階まで進んでいた。
その違いが、入賞を分けた決定的な違いだと思います。

演武には答えはありません。
入賞できるパターンも、入賞できる技法も存在しません。
自分と相手、双方で少林寺拳法を突き詰めたかたちが演武です。
10組いれば10通り、100組いれば100通りの演武があるはず。

それがあるから、演武ってのはホントは難しいはずです。


# by shorin-kid | 2017-07-09 22:56

演武考察

このブログは、FBと連携していまして、更新するとFBにも通知されるんですが、
そちらの方に地元の先生の返信がありまして、
こちらの方に自分の意見と言うことで書かせていただきます。


禁止技や規定ですが、少年部への禁止技は
正直、あって当然かなと思います。
やはり成長期でもありますから、やはり体へのダメージってのは、
一時的と見えても、実は慢性化しやすいってものがあります。
自分の以前の道院の門下生ですが、高校拳法部での蓄積ダメージで、
股関節に今も慢性的な痛みを持っていると聞いています。
関節や身体への負担、またかけ損なったときの負傷防止のためにも、
現状の禁止技は当然かなと考えます。

また中学生や女子の飛び技の禁止は、本部の方も10年ほど問題にしている部分です。
曲がりなりにも全身を床に打ち付ける行為ですから、
やはり直接ダメージより、続けたことへの内臓(特に生殖器)への負担を重視しています。
女子ではありませんが、以前高校生の大会に引率で行ったとき、
体育館に響くほどの音で攻者を叩きつけるような演武がありまして、
同席していた先生から、「あれはない! いつか大怪我する」と指摘がありました。

ただ、本部も飛び受身の規制を言っている割には、
審判講習会では、いまだに採点実習では女子の飛び受身の演武を高得点にしています。
片手落ちですよね。やはり飛び受身の無い演武でも
高得点を出している採点実習が必要かなと思います。
また、この件で今の所属の道院長先生(女性です)と話したときも、
道院長先生からは、飛び受身は技術としては習得すべきだけど、
受身が不十分だったり、崩れたときの危険性を考えると、
規制は必要だし、規則上でも減点はあっても然るべきと話していました。


まぁ男女組演武や親子演武の、全構成に渡って
男子や親がずっとやられる側ってのは、はっきり言ってやり過ぎの感がありますけどね。
確かに本部の考えは、護身の術ってのを協調したいってのはあるんでしょうが、
女子が男子を、子が親をボコボコ・・・ 見ていてもずっとってのはおかしいですよね。
いくら護身の法としての少林寺拳法でも、自分は嫌ですね。
道院長先生も、そこまで女性は望んではいないと言っていますし。


少々長くなりましたので、もう一つの課題は稿を改めて。

# by shorin-kid | 2017-07-08 22:37 | 雑感

小中学生の「演武」とは?

先月、今年の県大会があり、役員として参加しました。
少林寺拳法に関わる方ならご存じですが、今年は4年に1度の世界大会の年。
その関係で全国大会は開催されません。

自分の県は、以前一度だけ地区ごとの発表という形で世界大会の年を行ったんですが、
さすがにやりにくかったようで、今年は全国中学生大会の選手選考のみという
話で最初は計画してました。
ただやはりここでも問題に上がったのが、ここ数年の拳士数の減少傾向。
ということで、小学生も含め、小中学生を対象とした、
縮小した形で県大会を開催することになりました。

小中学生の「演武」とは?_f0016584_22203749.jpg
自分の方はいつものように、大会の写真記録担当ということでした。
まぁ時間も余裕があり、また例年の半分のコート数ってことで、
そんなにしゃかりきにならず、余裕を持って業務を行うことが出来ました。

小中学生の「演武」とは?_f0016584_22282590.jpg

また今年の試みとして、模範演武、基本修練の指揮、またアトラクションの技法紹介は、
全国でもトップクラスの、高校拳法部の高校生が担当。
小中学生にとっては、良い刺激になったんではないでしょうか。
やはり大人がやるよりも、近しいお兄さんお姉さんが技法を見せる方が
良い目標になるはずです。


ただ気になった点が2つほど・・・ これがテーマですが。

小中学生のレベル、かなり上がっています。おそらく各所属で修練を積んできたんでしょう。
ただ反面、気合が小さい演武、安全運転かな?
全力を出していないような演武が多かったように思います。
一言で言ったら、少年部や中学生らしい活発な演武ではなかったこと。
失敗しても良いから、気合も動作も全力・・・って方が良いかなって思います。

もう一つは、団体演武。
自分も以前の所属で指導していたけど、確かに団体演武ってのは難しい。
特に、単演と相対の組み合わせ、個々の技法と集団としての協調性
審判から見ても、評価が難しいところがある。
ここ近年だと、申し訳ないけど高校生や大学生の団体演武って、
「魅せる」ためなんだろうか、傍目にはマスゲームのように
構成の中で複雑な隊形変化を繰り返すってのが増えてる。

それが中学生、小学生にも行うようになってきてる。
まぁ自分の県だと、インターハイの団体演武で毎年上位入賞の高校があるけど、
今年の県大会、特に中学生にその高校の構成のコピーじゃないか?
って感じる団体演武が多い・・・というより、ほとんどそう。

まぁ複雑な隊形変化を、運歩って評価でアピールしたいってのは分かるけど、
やはり小中学生、まずはひとつひとつの技法をしっかり行うってことが
大事だし、それをしっかり評価しなきゃならないんじゃないかな。
それこそ、開祖が警鐘を鳴らした「技法を芸として売る」のと同じじゃないかと思う。

大会としては成功だけど、ちょっと複雑な心境になったのも事実。
まぁもしかしたら、自分の考えってのは古くさいのかも知れないけど。

# by shorin-kid | 2017-07-02 22:54 | 大会

原点回帰

先月行われた、関東地区合同武専に参加してきました。
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関東地区合同武専自体は、昨年度のうちに開催がアナウンスされていたのですが、
職場が新年度になったら、なんと前日が運動会当日。
まぁ校内の整備が遅れに遅れ、体育館での開催=雨天順延がない ことが幸いして、
ぎりぎりではありますが、何とか参加できる目処がつきました。

ただ役員のお手伝いを依頼され、会場の東京武道館の入場が朝8時。
車は基本使えない、JRだと乗り継ぎがあまりにも良くないので、
前日に御徒町で一泊して、当日朝向かう算段にしました。


午前中は座学中心、関東武専時代の先生方の講演(と言うよりインタビューに近いですが)と、
本部が最近お気に入りの、グループディスカッション。
テーマは「武専の活性化、学生を増やすには」
ただ、県の担当の先生から写真記録を頼まれていることもあり、
グループディスカッションは外れさせて貰いました。
どちらにしても、そもそも武専学生ってより、
そもそもの拳士数が大幅に減っているのが現状。そっちの対策が先だろってことだし、
ディスカッションしたところで、結論は本部の意向にそったもの・・・
それじゃぁね・・・。


昼食を挟んで、午後は実技。
会場の東京武道館一杯に、参加者が別れておのおのの資格に合わせて
グループ別の修練になりました。
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開祖は嵩山少林寺の「羅漢練拳図」を見て、少林寺拳法の概念を固め、
戦後日本に帰国して、少林寺拳法を創始しています。
写真撮影でメインアリーナの観覧席から修練の様子を撮影しましたが、
まさにフロアの様子は、「羅漢練拳図」そのもの。
学生から所属長クラスの方々まで、年代性別関係なく、
和気藹々と修練に励んでいました。
まぁ創始70周年、社会の変化~で、本部はいろいろお考えのようですが、
やはり根幹にあるものは、拳技を通した人間づくりではないかと。


自分の方は、地区の先生に呼ばれて助手的に修練していましたが、
埼玉からの拳士や、神奈川からの女性拳士のお相手をして、
お互いに技量を高めることができました。

やはりお互い手を合わせて修練する、そして理解し合うことが大切。


まさに、少林寺拳法の原点を感じた1日。



# by shorin-kid | 2017-06-11 22:04 | 武専・外部練習


少林寺拳法修行記録。

by Shorin-kid
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リンク
丸に一廉
~615期さんのサイトです。ブログ集に紹介させていただいています~

東京大学運動会 少林寺拳法部
~まさしく究極の「文武両道」、東大少林寺拳法部さんのサイトです。相互リンクしました~


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